ギター修理 | じほうどう工房 滋賀

ギターリペア

何年も大切にしてきた相棒ーその想いを込めて修理いたします

YAMAHA FG150

 このギターは「伝説の名器 FG赤ラベル」で、女子中学生からのリペアご依頼でした。お祖父さんが若かりし頃に弾かれていたギターを手に、ギター教室に通い始めたのですが、弾きにくいし、チューニングも出来ない。このまま使っていると壊れるかもと、教室の先生から修理をすすめられたそうです。 このギターの過ごしてきた十数年の中でギター全体に課題があって、全部修理をすると買った値段より高い修理代金になってしまう状態でした。ご一緒に来られたお母さんから、何とか弾ける状態にということで、予算を決めて、思いでギターの修理に取りかかることにしました

第1工程

-トップ浮き-

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6弦12Fが4.5ミリ、1弦が3.6ミリ。弦を張るとだんだんトップが膨らんでくる。ロッドはほぼいっぱい。サドルの残りも僅かということで、何とかトップ浮きを沈めて、落ち着かせたいということに。

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湿度管理とクランプを使いながら、ゆっくり時間をかけて癖のついた表版とブレーシングをフラットに近づけていきます。とにかくここは時間をかけてゆっくりと作業。

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癖のついた、トップ浮きはまた戻ってしまうことがおります。強度を補強することと音に関わる表版の振動のことにも折り合いをつけながら、長さ、高さ、形、位置などを考え、ブレーシングを一本追加しました。

第2工程

-ピックガードの貼り直し-

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経年の劣化ではがれています。赤ラベルFGオリジナルのピックガードは厚みのあるもので、接着剤の劣化と表板との収縮率の違いによるものです。しかし、きれいにはがれてよかったともいえます。はがれなければ表板までめくりあげたりして影響が出ます。また張り直しの方が簡単です。古い接着剤を削り取ります。

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ピックガードに適している両面テープを選び、コルク板を挟みつけた当て木を作り、しっかり接着します。

第3工程

-ペグの修理-

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経年による錆や溝の変形、衝撃による変形などがあります。ペグは消耗品ということもあり交換がベストですが、予算と、何よりもFG赤ラベルのオリジナルペグが貴重で何とか残すことにしました。

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ねじ穴に埋木をして補修し装着しました。最終のセットアップの段階で、2弦のビビリが出ました。その原因は2弦のペグのノブと軸に緩みがあるようです。知り合いの鉄工所に持ち込み接着をしてもらいましが、トラブル箇所に問題があり、再度緩む可能性があるとのことで、その時は交換になるでしょう。とりあえずビビリはおさまりました。

第4工程

-フレット交換とすり合わせ-

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1、2フレットに溝が出ています。他のところにも見られ全部するのがベストですが、1、2フレットはすり合わせには限界ということで、今回は部分打ち直しで交換しました。

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ネック全体にフェットの凹凸が見られます。経年による指板の痩せによる浮きも見られ、その部分は打ち込みなおします。フレットの凹凸は弦高を下げるときにビビリの原因にもなるので、ネックのセッティング状態に合わせてすり合わせていきます。

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すり合わせたフレットに、専用のヤスリで山をつけていきます。この作業は、ギターリペアの中でも重労働です。しかし、弾きやすさ、ギターの鳴り、そしてオクターブの調整などに影響する大事な作業なのでおろそかに出来ません。山付けの後、フレットの端のバリ取り、柔らかい研ぎ砥石で磨き上げてピカピカにします。

最終全体調整

ローズウッドのスペンサーでナットの弦高を作ります。ブリッジは弦出し角度調整の溝を彫り込みテンションを和らげます。ロッド調整がいっぱい状態ということで、サドルでオクターブと弦高調整、ナット溝の彫り込みで、出来るだけ弦高を下げ、12フレット、6弦が2,7ミリ、1弦が2.3ミリとなりました。今度、調整することになるとネックアイロンでの修理ということも考えなければなりませんね。

お届けした後日、ギター教室のライブイベントで彼女は、おじいちゃんのギターを弾いていてくれました。 じほうどう工房には、「お父さんの使っていたギター」「中学生の時に買った初めてのギター」「お母さんが使っていたギターを娘に」「昔、酒場で使っていたマスターのギター」等々、思いでギターがたくさんきます。高価なギターもいいけど、人の人生の関わってきたギターもいいですね。長く使ってもらえるとうれいです。